映画監督としての顔も持つシャオカン
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Q:一番気に入っているシーンは?
リー「やはり、キャベツを食べるシーンですね(笑)」
Q:名シーンですが、とても辛いシーンでもありますよね?
リー「あのシーンでは、かなりいろんな力を使いました。キャベツを食べなければいけないというのは、かなりきつかったんです。もしうまくできないと、悲惨なことになる。キャベツを食べ続けなくちゃならなくなる。だから1回で終るよう頑張りました」
主人公の内面の辛さが滲み出た名シーンというつもりでの質問だったのですが、本人にとってはキャベツを食べることが辛くて、精神的に追い込まれたからこその名演技だったようです。
●ツァイ監督以外の監督との仕事と最新作情報
Q:個人的にはアン・ホイ監督の『千言萬語』(99)に出ておられるカンションさんも好きなのですが、ツァイ監督以外の監督作品にもときどき出ておられます。今後もツァイ監督以外の監督の作品に出演する予定はありますか?
リー「6月に新人監督の作品に出ます。明日、帰国したらすぐに仕事が始まります。28日がクランクインです」
Q:監督はどなたですか?
リー「新人監督のパン・ツーユェン(藩志遠)。彼の2作目です」
Q:どんな役柄ですか?
リー「僕は日本へ来て、刺身の師匠(板前?)について修行します。その時、日本の女性と知り合って、子どもができるんだけど、子どもが生まれた途端に彼女に逃げられてしまう(笑)。その後、僕は子どもを連れて台湾に戻り、10年後に彼女が子どもを捜しに台湾へやって来るんです」
Q:それは面白そうですね。日本の女優さんが出ているのですか?
リー「AV女優の波多野結衣さんです。彼女は台湾ではとても有名な方です」
それは観たいですね。日本でも公開して欲しいです。
リー「おそらく、日本で一番多く撮影することになると思いますよ」
Q:ツァイ監督と他の監督たちの演出は違うと思いますが、どちらがお好きですか?
リー「どの監督からも、特に演出はないですね。例えばツァイ監督の場合、撮りたいシチュエーションを1つ投げてきて、監督が望むように僕が演じていれば、好きなようにやらせてくれます。他の監督の場合も、僕に指示をするのではなく、こちらから映画に何かを与えるという感じです。だから、僕を選んでくれたのでしょう」
話題に出た新作ラブコメディ『沙西米/SASHIMI』(「刺身」のアテ字)は、帰国後に撮影開始の記者会見の模様が報道され、浴衣を粋に着こなしたシャオカンの姿が紙面を賑わせていました。主演はリー・カンションと台湾ではAV界のリン・チーリンと言われている波多野結衣、『南風』のチー・ペイホイも共演しています。8月にはクランクアップし、台湾での公開は2015年春に予定されています。
●俳優と監督業について
窓の外にお弁当屋さん「picnic」の赤いテントが!
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Q:もし、ツァイ監督と会っていなかったら俳優にはなっていなかったでしょうか?
リー「役者にはなっていなかったでしょう。もし映画業界に入ったとしても、裏方の仕事をしていると思います」
Q:実際に監督もされていますが、演じるより創る方が好きなのですか?
リー「どちらかといえば、監督業の方が好きです」
Q:今後も俳優と監督を続けますか?
リー「また監督がやれたら、ぜひやりたいですね」
Q:脚本もご自分で書いているのですか?
リー「すべて自分で書いています。今はまだ、アイデアが整理できていませんが、来年には脚本ができるでしょう。ラブストーリーも考えていますよ」
Q:ツァイ監督との『Walker』のシリーズはまだ続いているのですか?
リー「今のところ、当分撮影はありませんが、『玄奘』という西遊記に出て来る僧侶の舞台劇をやっていて、これはこれからも続ける予定です」
ありがとうございました。
やっぱり素顔はユーモラス!
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質問の最後の方で、宣伝スタッフから撮影用にキャベツを渡されてしまい、「怖い…もう食べたくない(笑)」と怯えていましたが、撮影ではご覧のとおりでした(笑)。
『玄奘』は、5月に痛風に悩まされながら演じた舞台劇。ツァイ監督との合作で、8月の台北芸術祭のオープニングでは、頭を剃って再び玄奘を演じています。インタビューでは質問できませんでしたが、『郊遊<ピクニック>』の見事なタイトル文字はリー・カンションの筆によるもの。おっとりとした彼ですが、演技だけでなく、書の道も極めている才人です。ツァイ・ミンリャン監督との今後の作品も楽しみですが、これまでとは違う俳優リー・カンション、そして監督リー・カンションの活躍にも期待したいと思います。
尚、『郊遊<ピクニック>』は、台湾では「来美術館郊遊−蔡明亮大展」(8/29-11/9)の展示として、北師美術館(台北)で毎日6回上映中。9月には福岡で開催されたアジアフォーカス福岡国際映画祭の「台湾映画祭2014」でも上映され、再びツァイ・ミンリャン監督と共にゲスト来日をしています。
(2014年6月19日 シアター・イメージフォーラムにて単独インタビュー)
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