●監督について
Q:映画監督はいつ頃から目指していたのですか?
監督「もともと、映画監督になろうと思っていたのではありません。ただ、子供の頃から映画が好きだったので、他の職業は考えないで、映画業界で働きたいとは思っていました」
Q:どんな映画がお好きですか?
監督「いろんなジャンルが好きですが、特にホラーや恋愛、コメディですね。子ども映画やマンガはあまり好きではありません。それで、大学に入って映画を専攻し、卒業後はCMを製作する会社で働いてました。CM業界は映画製作とも近い業界なので、映画を作る機会に恵まれたのです」
Q:脚本も書かれるのですか?
監督「自分でも書きますが、脚本チームを作って書いてます」
Q:DJもやっておられるそうでうね?
監督「映画を紹介する番組で、たまにDJをやっています」
Q:今、注目されている作品はありますか?
監督「デビッド・フィンチャーの『ゴーン・ガール』ですね」
Q:どういうタイプの映画がお好きなのですか?
監督「たくさんあります(笑)。最近だと『ソーシャル・ネットワーク』」
Q:アンテナを広く張っておられるようですが、ご自身の映画もいろいろと変わっていく可能性があるということですね。
監督「その可能性はすごく高いですね」
●タイの映画界事情
Q:タイ映画というと、アクション、ホラー、ラブコメディとありますが、今のタイ映画界の製作状況はどうなのでしょう?
監督「今は1年に30本から40本が作られている状況で、製作の現場は厳しいです。赤字の作品が多いので」
Q:タイではどんなジャンルの映画が人気なのですか?
監督「やはりコメディとホラーですね」
Q:アクションはどうですか?
監督「アクション映画は少なくなっています。製作費がかかるし、トニー・ジャーも歳をとってしまい、タイ映画ではなくハリウッド映画に行ってしまいました。なかなか作らなくなったので、アクション映画の人気も落ちてきています」
Q:ラブストーリーは増えていますよね?
監督「恋愛ものも出て来ていますが、全体的に赤字になる作品が多いですね」
●気になる次回作とこれからについて
Q:次回作の予定はありますか?
監督「脚本ができあがったので、プリプロ(前期製作)を待っているところです。中国映画を撮ります。プロデューサーはチャウ・シンチーで、コメディ映画です」
Q:それは楽しみですね! いつ頃、公開になるのでしょうか?
監督「まだわかりませんが、来年公開できたらいいなと思っています」
Q:タイの俳優さんも出演されるのですか?
監督「はい。タイと中国との共同製作になります」(キャスティングはこれからとのこと)
Q:今後、どんな作品を撮ってみたいですか?
監督「ラブ・ストーリーを撮りたいですね。『ハロー・ストレンジャー』みたいな、コメディ要素を排除したラブ・ストーリーを撮ってみたいです」
Q:お得意のホラーからは離れてきたのですか?
監督「ホラーには飽きてきました。この『愛しのゴースト』はホラーとは思っていません」
Q:オムニバスのホラー映画『The ABCs of Death』(12)にも参加されていますよね。世界的にはホラー映画の監督と思われているようですが、そのことはご自身ではどうですか?
監督「特にはなんとも思っていませんが、とにかくホラー映画には飽きました(笑)」
Q:俳優については、たとえばアイドルスターを起用したいですか? それとも、若い新人を発掘していきたいですか?
監督「内容によりますね。注目している俳優はたくさんいますが、今の若いスターではナデート(ナデート・クギミヤ:今年のTIFFで上映された『メナムの残照』で主演)とヤヤー(ウラッサラー・サプアバンでしょうか)が素晴らしいと思います。他の仕事で一緒になったことがあるのですが、もし彼らに合う脚本ができれば、ぜひ一緒に仕事をしてみたいと思っています。それから、ベテラン女優のシンチャイさん(『ミウの歌/Love of Siam』のシンチャイ・プレーンパーニット)もいいですね」
Q:では最後に、日本の観客に特に観て欲しいところをどうぞ。
監督「全部です(笑)」
日本でもヒットすることを祈っています。ありがとうございました。
というわけで、いつもより長い時間をいただいたので、細かい質問をたくさんすることができました。世界でも注目をされているバンジョン・ピサンタナクーン監督。次回作はチャウ・シンチーとの合作による中国映画ということで、一体どんな作品ができあがるのか気になります。それは楽しみに待つとして、まずはこのタイの新感覚メガヒット・ラブ・ゴースト・ストーリー『愛しのゴースト』を、ぜひ劇場にてご堪能ください。
(2014.9.15 ソニーピクチャーズ エンターテインメント本社にて)
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