ビョンホン「ごめんなさい。(会場笑い)昨日、空港に着いて、監督と一緒に日本へ来たのですが、そこでも日本のファンの方が待っていてくれました。見たところ、顔馴染みの方もいて、どうもソウルでの私の舞台挨拶や、それ以外の地方の舞台挨拶にも一緒に着いてきてくださったファンの方がたくさんいたようです。中には、もう17回くらい舞台挨拶や映画を見た…と話す方もいて、ほんとうにありがたい気持ちでした。」
ここから、質議応答に。
●音楽が印象的で感動しました。乾いたラテン音楽が、映画の中では語られないソヌの人生観を埋めていたような気がしたのですが、ソヌの人生観とは?
キム「ソヌという人間は、自分の中の心が揺れてしまうことについて、なぜだろう?という疑問を抱くようになります。心の揺れを感じた時に、その揺れが次第に波紋として広がっていき、広がりながら、自分の中に今まで感じたことのない繊細な部分があることに、彼は気づきます。ソヌという男は、それまでは完全無欠な人生を歩いて来たと思っているのですが、小さいことがきっかけになり、その外に出てしまう。その原因は何なんだろう?と考える中で、心の闇を一つ一つ探っていくことになります。
小さいことがきっかけで、とても大きな事件に巻き込まれてしまい、そして、それまでは感じることのなかった心の揺れを感じてしまう。その中で、彼は自分の中にも愛という感情があることに気づきます。それまでの彼は、そういう部分ではとても不器用な男だったので、その感情が自分の中ではなかなか理解できない訳です。
それまでの彼は完全無欠な満足のいく人生を送っていたし、またそれを追求していた訳ですが、そんな彼であっても、完全な人生とはなかなか実現不可能なのです。そういうことを、心の揺れを感じながら見つめていくのが、彼の人生観ではないかと思います。簡単に言うと、完全無欠な人生などない。そんなものはないということを知ることになった男の愚かしさが、彼の人生観ではないでしょうか。」
ビョンホン「撮影に入る前もその後も、ソヌという人物や、考え方、心理状態について、監督と何度も話し合いました。彼の人生観については監督と同じで、ほとんど違いません。
これはキム・ソヌの人生観とはちょっと離れて、答えにならないかもしれませんが、例えば、いつもテストで100点を取っている人がいるとします。その人が次のテストで50点をとってしまった。その時の気持ちと似ているのではないでしょうか。それは、いつも70点をとっている人が40点をとった時とは、まったく違うものです。
いつも100点の人が、ちょっとしたミスで50点をとってしまった。そういう人は、それ以後のテストは全部諦めたいと思うくらいの気持ちになるでしょう。反対に70点の人が今回40点だったとしても、次に頑張ればいいやという気持ちになると思います。キム・ソヌの場合は、常に100点の人が50点をとってしまった、そういう心理状態なのだと思います。」
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