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ASICRO FOCUS file no.21c

「甘い人生」記者会見

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特設会場前で。
イ・ビョンホン(左)とキム・ジウン監督

2005.4.7
新宿伊勢丹百貨店本館屋上(東京)
わかばの広場特設会場にて

 「これは私の代表作になる!」と主演のイ・ビョンホンに言わしめた、話題の韓国ノワール映画『甘い人生』が、4月23日より公開されます。これに先立つ4月6日より6日間、そのビョンホン氏がキム・ジウン監督と共に来日した時の模様は、すでにTVや各種報道でご覧になったと思いますが、公開直前となった今、映画のコンセプトや見どころを熱く語っている記者会見の様子を、アジクロでもご紹介します。暴露話もありますので、ポイントをチェックして劇場へおでかけ下さい。

 会見場所となったのは、なんと新宿伊勢丹デパートの屋上。『甘い人生』のパネル写真展が開催される特設会場の前、という異例な場所でした。「ほんとうにここに、ビョンホンが?!」などと思っていると、定刻よりやや遅れて(階下でファンにつかまっていたらしい)監督と二人で颯爽と登場。黒いサングラスをはずすと、いつものキラースマイルがこぼれました。先にフォト・セッションが行われ、その後、特設会場内で会見開始。まずは、ご挨拶から。

 キム「本日は来ていただいてありがとうございます。『箪笥』の公開時以来の来日ですが、今回の『甘い人生』は『箪笥』とは違うテイストの作品です。皆さんにぜひ楽しんでいただけたら幸いです。」

 ビョンホン「こんにちは。イ・ビョンホンです。日本では最近、私の過去の作品も続々と紹介されているようですが、今回は『甘い人生』という映画で皆さんにお目にかかることができて、大変うれしいです。どうかこの作品を楽しんでください。ありがとうございます。」

 司会「韓国では4月1日に公開されましたが、反応はいかがですか? また日本では23日から公開されますが、どんなお気持ちですか?」

 キム「詳細はまだ伺っていませんが、非常によい反応だったと聞いています。最初にソウルで公開され、BOX OFFICE の結果も出始めています。韓国では、この映画に関しては、非常にたくさんの強烈なシーンが盛り込まれていること、またとても演技のうまい俳優がこの作品の完成度を高めていること、そしてなによりも、この映画のジャンル(ノワール)が話題になっています。

 特に、イ・ビョンホンさんの美しい表情がふんだんに盛り込まれており、今回この作品を作るにあたっては、イ・ビョンホンさんの功績が非常に大きく、大変感謝しています。そのように、いろいろな意味で大変衝撃的な作品として、韓国では迎えられています。これから4月23日に日本で公開されますが、韓国に負けないくらいの大きな反応と、皆さんのご期待にそえる作品になれればと期待します。」

 司会「このように写真展も開催され、1日(韓国公開時)には日本人が700人も駆けつけたということですが、どのようなお気持ちですか?」

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会場前のボードにサインをするイ・ビョンホン
 ビョンホン「韓国の初日には、外国のファンの方たちがたくさん来てくれました。その時はファンの方には内緒で、皆さんを驚かせようと、突然に登場してご挨拶をしました。飛行機代を払って飛行機に乗り、ホテルまで予約して、私の舞台挨拶を見て声援を送ってくださる姿には、ほんとうに心から感動しました。

 日本だけでなく他の国からもたくさん来てくれました。その方たちには、もちろん字幕がない訳で、中味が理解できないところもあると思うのですが、真っ先に見たいという信念で駆けつけてくださったようです。ほんとうに心から感謝しています。

 ただ、ちょっと残念なのは、字幕がないので、外国の方が観た時に正確な内容がつかみにくいという点です。しかも、私の舞台挨拶は何箇所もあり、それにずっと着いてこられるので、舞台挨拶が終わってから映画の冒頭の部分だけを観て、また次の舞台挨拶の場所へ行くことになってしまい、映画をゆっくりご覧になれなかったことも残念です。本来は、字幕のある状態でゆっくり観ていただきたいと思います。」

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できあがったサインと共に。
 ここで、質議応答に…と質問を取ろうとする司会者の横で、さらに続きを話そうとするビョンホン氏。それに気づいた司会者へ、遠慮がちに、

 ビョンホン「雰囲気を壊してごめんなさい。」

 司会「どうぞ、お話してください。」

 ビョンホン「ごめんなさい。(会場笑い)昨日、空港に着いて、監督と一緒に日本へ来たのですが、そこでも日本のファンの方が待っていてくれました。見たところ、顔馴染みの方もいて、どうもソウルでの私の舞台挨拶や、それ以外の地方の舞台挨拶にも一緒に着いてきてくださったファンの方がたくさんいたようです。中には、もう17回くらい舞台挨拶や映画を見た…と話す方もいて、ほんとうにありがたい気持ちでした。」

 ここから、質議応答に。

●音楽が印象的で感動しました。乾いたラテン音楽が、映画の中では語られないソヌの人生観を埋めていたような気がしたのですが、ソヌの人生観とは?

 キム「ソヌという人間は、自分の中の心が揺れてしまうことについて、なぜだろう?という疑問を抱くようになります。心の揺れを感じた時に、その揺れが次第に波紋として広がっていき、広がりながら、自分の中に今まで感じたことのない繊細な部分があることに、彼は気づきます。ソヌという男は、それまでは完全無欠な人生を歩いて来たと思っているのですが、小さいことがきっかけになり、その外に出てしまう。その原因は何なんだろう?と考える中で、心の闇を一つ一つ探っていくことになります。

 小さいことがきっかけで、とても大きな事件に巻き込まれてしまい、そして、それまでは感じることのなかった心の揺れを感じてしまう。その中で、彼は自分の中にも愛という感情があることに気づきます。それまでの彼は、そういう部分ではとても不器用な男だったので、その感情が自分の中ではなかなか理解できない訳です。

 それまでの彼は完全無欠な満足のいく人生を送っていたし、またそれを追求していた訳ですが、そんな彼であっても、完全な人生とはなかなか実現不可能なのです。そういうことを、心の揺れを感じながら見つめていくのが、彼の人生観ではないかと思います。簡単に言うと、完全無欠な人生などない。そんなものはないということを知ることになった男の愚かしさが、彼の人生観ではないでしょうか。」

 ビョンホン「撮影に入る前もその後も、ソヌという人物や、考え方、心理状態について、監督と何度も話し合いました。彼の人生観については監督と同じで、ほとんど違いません。

 これはキム・ソヌの人生観とはちょっと離れて、答えにならないかもしれませんが、例えば、いつもテストで100点を取っている人がいるとします。その人が次のテストで50点をとってしまった。その時の気持ちと似ているのではないでしょうか。それは、いつも70点をとっている人が40点をとった時とは、まったく違うものです。

 いつも100点の人が、ちょっとしたミスで50点をとってしまった。そういう人は、それ以後のテストは全部諦めたいと思うくらいの気持ちになるでしょう。反対に70点の人が今回40点だったとしても、次に頑張ればいいやという気持ちになると思います。キム・ソヌの場合は、常に100点の人が50点をとってしまった、そういう心理状態なのだと思います。」


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更新日:2005.4.22
●back numbers

記者会見の表記
司会・質問者
ビョンホン(イ・ビョンホン)
キム(キム・ジウン)
●イ・ビョンホン
*プロフィール他はこちらへ。
●キム・ジウン
(Kim Jae Woon)

1964年、ソウル生まれ。舞台俳優として活躍後、舞台監督に転向。初のオリジナル脚本「Wonderful Seasons」がプレミア誌のシナリオコンテストで最優秀脚本賞を受賞する。その後、自らの脚本による『クワイエット・ファミリー』で映画監督デビュー。ファンタスポルト国際映画祭の最優秀作品賞を獲得し、ベルリン国際映画祭へも正式出品された。それから『反則王』『three/臨死』『箪笥』と次々に話題作を手がけ、『箪笥』はハリウッドでのリメイクも決まっている。

*代表作:
・クワイエット・ファミリー(98)
・反則王(2000)
three/臨死(02)
 memories
箪笥(03)
・甘い人生(05)
注目の出演者たち
シン・ミナ

●シン・ミナ
ソヌの運命を狂わせることになるファム・ファタールを演じるのは、ドラマ『美しき日々』でお馴染みのシン・ミナ。本作では妹と思わないようにご注意。

84年4月5日生まれ。高校在学中よりモデルとして活躍。映画出演は『火山高』(01)『マドレーヌ』(03)。本作では、チェリストとしてチェロの猛特訓を重ね、演奏シーンも見どころの一つになっている。
チン・グ

●チン・グ
ソヌの忠実な右腕ミンギを演じるのは、ドラマ『オールイン』でビョンホン演じるイナの少年時代を演じたチン・グ。以来、「リトル・イ・ビョンホン」として注目されている。

80年7月20日ソウル生まれ。三育義明大学広告情報学科在学中。映画『ロマン忍者』(03)で一番年下の忍者を演じ、コミカルな役にも挑戦した。父親は映画監督のチン・ヨンホ。
エリック

●エリック
出番は少ないが強烈な印象を残す役柄で登場するのが、日本でも大人気のヒップホップ・グループ SHINHWA(神話)のリーダー、エリック。監督によると「はじめからエリックを念頭に置いてシナリオを書いた」とのこと。どんな役か?は映画を観てのお楽しみ。

79年2月16日生まれ。ドラマ『火の鳥』で演技力も評価され、新人賞を受賞。現在好調放映中のドラマ『新入社員』では本名のムン・ジョンヒョクで出演している。CFやモデルとしても活躍中。
●プレスシート・プレゼント

プレスシート

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