Q:「Gメン'75」の音楽がとてもインパクトがありました。これを選んだ理由は?
監督「日本の皆さんから同じような質問をたくさん受けました。理由は簡単で、僕自身が『Gメン'75』の大ファンなんです。いたってシンプルな理由です。三蔵法師が3人の弟子を連れて悪を撲滅する。その始まりの場面ということで、『Gメン'75』はとても合っていると思いました」
Q:日本では「西遊記」を元に「ドラゴンボール」というアニメができました。この作品も「ドラゴンボール」の影響を受けているのでしょうか?
監督「むしろ、すごく大きな影響がありますね。孫悟空の最後の場面もそうですが、3つの様相があります。最初は人間みたいだし、2つ目はすごく小さくて、3つ目は大きなゴリラみたいになる。これらはすべて『ドラゴンボール』から閃きました」
Q:この作品は「はじまりのはじまり」で、これから『西遊記』が始まると思うのですが、続編を作る予定は?
監督「『西遊記』は1つのシリーズものです。いろんな物語があり、いろんな要素が含まれているので、この後の続編はすでに考えています」
●キャスティングについて
Q:ウェン・ジャンさんを主演に決めた理由と、彼の優れているところは?
監督「キャスティングは自分の直感で選ぶことが多いのですが、彼の場合は、見た目がストーリーに合っていました。それから、彼自身が仏教をすごく勉強していたこともあります。そこで、彼には三蔵法師の役をお願いしました。そういう潜在能力が高かったこともありますが、実は起用した頃の彼はまだ新人で、ギャラが安かったのです。今は大スターになったので、今、彼を起用するのは大変です(笑)」
Q:スー・チーさんをヒロインに起用した理由を教えてください。
監督「スー・チーは素晴らしい女優ですし、映画の中の役柄にぴったりでした。とてもセクシーであり、強いところもある。また、愛情のために自分を犠牲にできる。そういう部分で彼女を起用しました」
Q:メインキャストの他の二人、ホアン・ボーさんとショウ・ルオさんを起用した理由は?
監督「2人はもともとスタッフだったんです。(それは違うでしょ!と場内笑)専門の役者じゃなかったんです。僕が役者を選ぶ時は、その人がプロでなくても、フィーリングで、それだけの能力がありそうだと思うと起用したりします」
まるでジョークのような回答ですが、答える前に名前を確認していたので、あえてこう振ってみたのかもしれません。というのも、実は続編でのメインキャストになる(沙悟浄にあたる)水の妖怪と(猪八戒にあたる)豚の妖怪を演じたのは、実際に製作スタッフから俳優に抜擢されたリー・ションチン(李尚正)とチェン・ビンチアン(陳炳強)なのです。リー・ションチンは香港のテレビ局で働いていた人で『ミラクル7号』がデビュー作。チェン・ビンチアンは撮影現場でアシスタントをしながら俳優を目指していた中国の若者で、今回めでたくチャウ・シンチー監督に見い出されて俳優デビュー。注目を集めている23歳のイケメン君です。
司会「ホアン・ボーさんとスー・チーさんが穴の中でダンスをする場面がありますが、あれは監督が演出したのですか?」
監督「ダンスは違います。僕は踊れないので。孫悟空を演じているホアン・ボーさんは中国ではとても有名な俳優で、以前は有名なダンサーでした」(これはほんとうのお話)
司会「では、アドリブでやられたんですね?」
監督「はい。彼が自分でやりました」
Q:今回は監督に専念されましたが、主演しなかった理由は?
監督「自分に合った役柄がなかったからです。(場内笑)よさそうな役があっても、出番が少ないので気に入らなかった。僕は主人公しかやらないので。脇役にはまったく興味がないんです(笑)」(場内爆笑)
●映画製作について
Q:中国市場が飛躍的に伸びていますが、97年前後の香港と比べて、映画を作る環境、撮影現場や出資元に変化が起きていますか?
監督「以前と比べると、今は一番いい時期だと思います。中国でも映画産業がだんだん発展してきたし、1つの大きな市場ができたので、今が一番いいですね」
●日本について
Q:6年ぶりに日本へ来た感想は? 日本の観客にどんな反応を期待していますか?
監督「日本へは昨夜着いたばかりで、まだ外出してません。この後、時間ができたらまずは、日本の美味しいラーメンを食べてみたいですね。映画については、もちろん日本の皆さんにも気に入っていただけたらと思います」
Q:今後、日本のスタッフや俳優と組んで映画を作ってみたいですか? 好きな方がいれば教えてください。
監督「それはもちろん興味があります。今までもずっと、そういうチャンスがないかと思っていました。好きな方は、もう亡くなられましたが、黒澤明監督の大ファンです」
ここで記者会見は終了。6年前に比べるとかなり髪が白くなっていましたが、チャウ・シンチー監督はまだまだエネルギッシュでした。続編も楽しみですが、まずは11月公開の『西遊記〜はじまりのはじまり〜』をお楽しみに!(映画についてはこちらもどうぞ)
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