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asicro interview 41

更新日:2011.8.24

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(c)2010 MIROVISION Inc.

Q:主人を演じたイ・ジョンジェについては?

 チョン「彼については、撮影中、本当にありがたいと思ったことがたくさんあります。私のことを不満も言わずにずっと待っていてくれて、いっぱい我慢してくれて…自分のやるべきことを黙々とこなすような俳優さんでした。共に献身的に作品に臨んでくれたことに感動しました。彼は私について『そこまでやる必要があるのかと思わせるくらい、役作りを頑張っていた』と言ってくれていたそうですが、私がただウニというキャラクターを理解しきれなくて、必死に理解しようしようとしていた姿がそんな風に映っていたんでしょうね。それに、私は役にのめり込んでしまうタイプの俳優ですが、彼はもっと俯瞰で演じられるタイプの俳優なので、そのように感じたのかもしれません」

●撮影中のエピソード

Q:撮影中に大変だったエピソードを教えて下さい。

 チョン「やはりワイヤー撮影ですね。誰もが、私はすでにワイヤー撮影は経験済みだから大丈夫と思い込んでいたようですが、実は私はワイヤーを使用した撮影は初めてで、今回は本当に怖い思いをしました。全身にギュッと力が入って肋骨にヒビが入ってしまうんじゃないかって…骨盤にも響くし、衝撃も強くて。スタッフの方に聞いたら、装着したワイヤーの形が上手く合っていなかったようでした。

 でも、挑戦している時は、自分がすごく愚鈍な俳優のように思えてしまい、撮影が終わって安心したら涙が出ました。撮影中は、そのシーンの内容を考えてもひどいという気持ちが生まれてくるし、監督に対しては特に、なんでこんなことやらせるの、なんてひどい監督なんだと思っていました(笑)。

 ほかに大変だったといえば、バイクに乗るシーンもそうでした。過去の作品でバイクに乗ってあぜ道に落ちてしまったことがあり、怖い思いをしたので、今回、一番練習したのはバイクかもしれません(笑)。バイク自体が重くて、私の力ではなかなか思う通りにならなくて…」

Q:今回の映画で特に印象に残っているシーンはどこですか?

 チョン「どのシーンも印象的で、そこからどれかを選ぶというのは難しいですね。ただ、娘のナミとのシーンではウニが一番穏やかで優しくなれるので、撮影中はそのシーンが好きでした」

●努力の女優チョン・ドヨン

Q:この映画の撮影を終えた感想をお聞かせください。

 チョン「こんなに強烈な話に私が参加して、イム・サンス監督のスタイルで作り上げられたら、果たしてどんなものになるのか、とっても気になりました。撮影が終わってできあがった作品を観るまで、先の展開がわからないこの映画がすごく気になりました。どんなものに仕上がって、どんなキャラクターが登場するのか…と。

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(c)2010 MIROVISION Inc.
 この現場は私にとって非常に怖い現場でした。というのも、チョン・ドヨンだったらできる、チョン・ドヨンだったら出来ないはずがない、チョン・ドヨンだったらちゃんとやり遂げるといった空気があり、私にはできません、苦しいです、大変ですといった弱音をはくのが難しかったからです。痛くても笑って、苦しかったら後ろを向いて泣いて…。チョン・ドヨンという女優でいる為に、そこまでしなくてはいけないのか、ある程度年をとった女優の責任感としてそれはやるべきなのか、と心が重くなることもあります。

 みんな、私が全てを持っているというようなことをおっしゃったり、思ったりされるのですが、私はそんな風に感じたことがないし、何を持っているのか自分ではわかりません。できないことも多いんです。自分ではどんな俳優なのか、どんな風に映っているのか不安になることも多いです。その不安を埋めるために焦って色々なことに挑戦する姿が人の目には、熱心に芝居に取り組んでいるように見えたり、何かができるように見えたりするようです。

 今回の現場でも、皆さんを失望させないためにいろいろともがいて必死でした(苦笑)。でも、責任感から演じているわけではないのです。こうしたら、これができたらみんなが喜んでくれる、楽しんでくれると思えるから頑張れるんです。私が何かをすることで、人を幸せな気持ちにできるのであれば、それが自分を喜ばせることでもあるから。

 私がペク(蛇)・サンスと名づけた監督は、私のそういった部分をうまく使って褒めたり、チョン・ドヨンだったらできると誘導して、いろいろとやらせてくれました(笑)。途中で悔しくなったこともあったけど、話している内に従ってしまうんです」

Q:出産や結婚以後、俳優として何か変わったことはありますか?

 チョン「結婚をするということで、女優としての作品選びが変わるということはありませんでした。結婚してもしなくても、私はチョン・ドヨンなので、変わりたくなかったし、変えようとも思わなかった。夫だけでなく家族も、結婚することで私に変わって欲しいと望まなかったし、そのままでいるのがいいと考えてくれました。今回の『ハウスメイド』への出演も、そんな家族の力が大きかったです」

『ハウスメイド』をご覧になる日本の観客へメッセージをお願いします。

 チョン「この作品は、イム・サンス監督の魅力が詰まったサスペンス・スリラーでもありますし、ブラックコメディ的な側面もあり、ファムファタール的要素もあります。とても魅力的な作品だと思いますので、ぜひ観てくださいね」

(インタビュー&素材提供:ギャガ)


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●back numbers
profile
チョン・ドヨン
全度妍/Jeon To-Yeon


1973年2月11日生まれ。ソウル芸術専門大学放送演劇科卒業。90年にCMで芸能界入り。97年『接続 ザ・コンタクト』で映画デビュー。その後、数々の話題作で様々な役柄に挑戦。順調にキャリアを積み上げる。

07年の『シークレット・サンシャイン』ではカンヌ映画祭でも女優賞に輝き、韓国ナンバーワン女優として国内外で高く評価されている。
filmography
drama

・われらの天国(92)
・総合病院(94)
・愛はブルー(94)
・恋の香り(94)
・若者のひなた(95)
・別れの6段階(95)
・TV孫氏兵法(96)
・愛するまで(96)
・プロジェクト(96)
・北の駅から(96)
・カタツムリの愛(97)
・星に願いを(97)
・あなたを忘れられない(98)
・星を射る(02)
・プラハの恋人(05)
・オン・エアー(08)
 *カメオ出演

movie

・接続 ザ・コンタクト(97)
・約束(88)
・我が心のオルガン(99)
・ハッピー・エンド(99)
・私にも妻がいたらいいのに
 (01)
・血も涙もなく(02)
スキャンダル(03)
初恋のアルバム
 /人魚姫のいた島
(04)
ユア・マイ・サンシャイン
 (05)
シークレット・サンシャイン
 (07)
素晴らしい1日(08)
・ハウスメイド(10)
・カウントダウン(11)
 *韓国9月公開予定