初めての映画出演は人生の糧に
−ツァオ・ヨウニン(曹佑寧)&チェン・ジンホン(陳勁宏)
ジャパンプレミアで来日したツァオ・ヨウニン(左)とチェン・ジンホン(右)
『KANO〜1931海の向こうの甲子園〜』ジャパンプレミアでは、12月に来日できなかった呉明捷役のツァウ・ヨウニン(曹佑寧)くんが来日。蘇正生役を演じたチェン・ジンホン(陳勁宏)くんも一緒に来るというので、お二人にインタビューすることにしました。
攻守に優れた怪腕投手で「麒麟児」とも呼ばれていた呉明捷選手役のツァウ・ヨウニンくんと、テニス部から引き抜かれた強打者で「永遠的中外野大砲」と呼ばれていた蘇正生選手役のチェン・ジンホンくんは、二人とも現役の大学野球選手。ツァウ・ヨウニンくんは台湾代表チームにも選ばれており、昨年の21Uワールドカップ野球で大活躍。大会ベスト9と最優秀スター外野手に選ばれています。チェン・ジンホンくんは映画の舞台となった嘉義大学でピッチャーとして活躍しています。
●初めての映画出演
野球は得意だけれども演技は初めてというお二人に、まずは映画撮影に参加した経緯から尋ねてみました。
Q:お二人共、実際は現役の野球選手ですが、映画に出演されたのは初めてです。出演することになったきっかけを教えてください。オーディションを受けたのですか?
ヨウニン「野球の映画だと知って、自分から進んで出たいと思いました。小さい頃からずっと野球選手としてやってきたので、チャレンジしてみたかったのです。若い時は、野球以外のことにもチャレンジした方がいい、という思いもありました。この機会を逃したくなかったので、オーディションに参加しました」
ジンホン「監督がキャスティングのために台湾全土を回っていたのですが、僕の学校(嘉義大学)にもやって来て、たまたま僕を見つけてくれました。その時は、父も母も『やってみたら』と言ってくれました。例えば、人生を振り返った時に、こういう素晴らしいチャンスがあって、自分がそれに参加できたことはすごくいい思い出になると思い、やることにしました」
Q:ヨウニンさんは、お父さんが反対されたそうですね?
モデルもいけそうな二人。野球選手だけではもったいないぞ。
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ヨウニン「そういう風に言われているようですが、反対はしていません。父はどちらかというと、すごく応援してくれて、『やってみなさい』と言ってくれました。ただ、1年間休学することを心配していたんです。僕の家は、小さい頃から子どもたちがやりたいことを徹底的にやらせる方針なので、何かに反対するということはありません。父は『ほんとうに映画をやりたいのか?』と僕に尋ねました。『やりたい』と答えると、すぐに同意してくれました。僕にとって映画に出るということは、人生経験の上でもすごくいい勉強になると思いました」
Q:撮影はいかがでしたか?
ヨウニン「撮影中は、実際の野球の試合が懐かしかったですね。だから、撮影が終わったら、また自分のほんとうの野球の試合に戻れたことが、すごく嬉しかったです」
Q:やはり演技より野球が好きなようですね。では映画に出演して、何か得たことはありますか?(質問がやや抽象的だったのか、二人ともしばし考え込んでしまいました)
ヨウニン「夢に対する態度を学んだような気がします。夢があっても、失敗を恐れて夢に向かっていけない人はたくさんいます。でもこの映画は、夢があるならそれを追いかけなくては、後で後悔しても遅いんだ、ということを言っていると思うので、夢を追いかける大切さを学べたのは、僕にとってもいい経験でした」
ジンホン「僕はこれまでずっと野球をやってきて、それ以外は学校の勉強くらいしかなかったのですが、映画に出演した後で、もう1度『KANO』を観てみると、なんとなく、自分にとって豊かなものがちょっと増えたような気がしています」
●野球を演じるということ
ここからは、お二人の得意な野球の話に切り替えました。
Q:試合のシーンはすごく臨場感があったのですが、撮影の時は1カットずつバラバラに撮っていったのですか?
ヨウニン「すごく細かいカットになっていたので、臨場感を出すのがとても大変でした。いつもカメラがあり、スタッフもいっぱいいる中で野球をやらなければならないので、緊張感を出すのが難しかったです」
Q:そういうことはまったくわからず、本当に試合をしているように見えて興奮しました。ジンホンさんは左打者と聞いていますが、右バッターボックスにいましたね? 右で打つのは難しくなかったですか?
ジンホン「蘇正生選手は右打者なんですが、僕は左です。撮影の前に2ヶ月のトレーニング期間があって、その時に初めて右打ちをしました。それまで、右で打ったことがなかったので、僕にとってはかなり難しかったですね。右だとバットを振る感覚がよくつかめず、球に当てるのがすごく難しくて、撮影が始まってからも、なかなか当たりませんでした。監督からはいつも『バットを振るのが遅い』と言われていました。さらに、演技をしなくてはならないので、僕にとっては二重の難しさがありました」
Q:ヨウニンさんも、実際のポジションは投手ではないですよね?
ヨウニン「僕はずっと外野手をやっているので、やはり投手とは投げ方がぜんぜん違います。そこは、野球のわかる人が見ると、すぐわかります。投手らしい投げ方のフォームをつかむのはすごく難しかったけど、本物の野球チームの投手の投げ方などを研究したりして、いろいろと作っていきました」(次頁へ続く)
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