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ママボーイ

監督:アーヴィン・チェン
脚本:サニー・ユー、アーヴィン・チェン
撮影:ジェイク・ポロック
編集:ジャン・イーニン
音楽:シュー・ウェン
主題歌:「明天不見」作詞・作曲・歌/ビビアン・スー
出演:クー・チェンドン、ビビアン・スー、ユー・ズーユー、ファン・シャオシュン、フィル・ホウ、リン・ティンユー、ジョアンヌ・ミッシンガム、アリエル・チャオ、リン・チアリー

2022年/台湾
日本公開日:2023年7月7日
カラー/シネスコ/5.1ch/98分
字幕:本多由枝
配給:ライツキューブ
©2022 Filmagic Pictures Co.

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ママボーイ(初戀慢半拍/Mama Boy)

story

 水槽の金魚たちを眺めるシャオホン(クー・チェンドン)は内気な青年。伯父が経営する熱帯魚店「陽光水族館」で働いている。今日は29歳の誕生日。いつものように、ご馳走とケーキを用意した母メイリン(ユー・ズーユー)は、シャオホンのために同僚のリウさん(ン・チアリー)の娘ティンティン(アリエル・チャオ)との食事をセッティング。ケーキのロウソクを吹き消す時、3つの願いを唱えさせる。

 メイリンからプレゼントされた黄色いセーターを着て、ティンティンと食事するシャオホン。彼女はいろいろと話しかけるが、シャオホンは反応が遅い。しかも、食事中にメイリンが電話して様子を尋ねてきた。呆れたティンティンは他に約束があったと去ってしまう。マザコンと思われたのだ。だが、メイリンの過保護も深刻だった。

 一緒に働いている従兄のウェンハオ(フィル・ホウ)が、経験不足のせいだと馴染みの売春宿「マギーホテル」を予約してくれた。621号室でホテルの副支配人ララ(ビビアン・スー)に料金を払い、希望した女の子の部屋へ行くシステムだ。ララはシャオホンのために人気のアップル(リン・ティンユー)を用意してくれた。だが、シャオホンは童貞を捨てることなく逃げ出してしまう。

 ホテルの外でウェンハオを待つシャオホンに、ララは名刺を渡す。実はシャオホンは、メイリンと同世代のララに惹かれていた。髪型もメイリンに似ているが、ララは洗練されていて美しい。そして、優しい。それから、シャオホンはマギーホテルに通うようになる。指名はいつもアップルだが、目的はララに会うことなのでアップルとは何もない。

 ララもそんなシャオホンを気にかけ、かつてダンスを踊っていた馴染みのバーに連れていく。少しずつ距離を縮めていく二人。だが、ララにはウェイジェ(ファン・シャオシュン)という息子がいて、借金をして始めた事業で失敗。信用を失くし金銭トラブルにも遭っていた。それがきっかけで、メイリンにもララのことが知れてしまう…。

アジコのおすすめポイント:

過保護な母親と二人暮しの青年が、美しい年上の女性と出会って初恋を経験。自我に目覚めて成長していく物語です。29歳の誕生日、さすがに息子の将来を心配する母親が同僚の娘とのお見合いまで準備しますが、お見合い中に電話してくるとは!さすがに相手も引きますよね。誕生日の夜、彼が心の中でとなえた3つ目の願いが何かはわかりませんが、その後の出会いと展開で夢がかなったのかもしれません。さて、彼は母親の束縛から自立できるでしょうか…。

監督は『台北の朝、僕は恋をする』で長編デビューして注目されたアーヴィン・チェン。本作が長編3作目。アメリカで生まれ育った監督ですが、エドワード・ヤン監督の元で映画を学んでおり、新鮮な視点で新しい台湾映画の魅力を伝えています。主人公を演じるのは、『あの頃、君を追いかけた』でブレイクしたクー・チェンドン。その後の事件で一時期謹慎していましたが、ギデンズ・コー監督のサポートもあり徐々に俳優業に復帰。最近では、4月に日本公開された『マネーボーイズ』の男娼のような、難しい役柄にも挑戦。本作では一変して奥手で優しい青年を好演しています。

そして、もう1つの注目は、なんといってもビビアン・スー。ブラックビスケッツなど、日本の活動でも人気の彼女ですが、『靴に恋する人魚』の頃のキュートさを封印し、『セデック・バレ』シリーズでは落ち着いた原住民出身の婦人役を。そして、プロデューサーとしても参加している本作では、息子ほどの青年に慕われたことで孤独を癒される中年女の微妙な心理を繊細に演じています。


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