誰もがこの物語の中に
自分自身を重ね合わせる
はずです。
ー ビビアン・スー(徐若瑄)
7月7日より、シネマート新宿他にて全国順次公開中の台湾映画『ママボーイ』(原題:初戀慢半拍)。29歳になっても過保護な母親の束縛から逃れられないマザコン気味の青年が、なんと女性を斡旋するホテルの女支配人と恋に落ちる物語。母親と同じくらい年上の女性に惹かれた青年が、初恋を通して一人前の青年に成長していきます。
クー・チェンドン(柯震東)演じる主人公が惹かれるホテルの副支配人、ララを演じたのがビビアン・スー。そのビビアンへの公式インタビューをご紹介します。いつも可憐で可愛いイメージのビビアンですが、そんな彼女ももうアラフィフの48歳。今回はおばさん風のファッションで、中年期の大人の女性を演じています。撮影の裏には見えない苦労もあった模様。今後の抱負まで、貴重な裏話を語ってくれています。
Q:クー・チェンドンさんとは初共演でしたが、思い出に残っているエピソードをお願いします。
ビビアン「初めて彼と会った時、耳がとがっていて、映画『アバター』に出てくるナヴィ族に似ていたので宇宙人みたいだと思いました! (笑) 彼のことをよく知ってからは、とても純粋な人なのだと感じました。俳優としての彼は、とても頭の回転が速く、知的で、落ち着いていて感情のコントロールが上手いように感じました。ですが、プライベートでは、感情豊かな大きな少年のようです。打ち上げの日の夜、みんなと別れるのが惜しくて、彼が7歳の少年のように泣きながら『この映画の撮影に参加する機会を得て、みんなと一緒に仕事ができてとても幸せだ』と言っていたのを覚えています。みんなが彼をなでて抱きしめて『よくやったね』と声をかけたくなっていました」
一途に慕う青年を演じたクー・チェンドン
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母親を困らせる息子役のファン・シャオシュン
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Q:演じる中で難しかったと感じた点はありますか?
ビビアン「この映画で私が演じたララは、ホテルの副支配人です。この役を演じるためには、常にタバコを吸い、お酒を飲まなければならず、おそらく1年間で飲める限りのお酒を飲んだと思います。1番印象に残っているのは、雨の中、裏路地でタバコを吸うシーン。その夜タバコを60本も吸いました。スタッフからタバコを渡されたときは怖くて吐きそうでした。撮影が始まる前からずっと風邪をひいていて、そのうえ役作りのためにタバコとお酒を飲み続けたので、撮影期間中は声がかすれてしまっていたのですが、監督は『役にぴったりの声だから、風邪を治すのは後回しにして!』と、むしろ褒めていました」
Q:ララを演じる上でどういった点を大事にされてましたか?
ビビアン「ララという役は、実際の私とはまったく違います。私は自分自身で計画を立て、目標を設定し、常に新しいことを学び、人生の様々な景色を見に行こうとするタイプですが、ララは大きな野心や理想を持たず、日々を淡々と過ごす人です。私とララの共通点を挙げるとすれば、『愛する人を選べる自立した女性』というところでしょうか。この映画は、愛や、母と子の関係を描いたものです。胸が張り裂けそうな悲しみを経験せずに、大人になることはできません。誰もがこの物語の中に自分自身を重ね合わせるはずです」
孤独な中年女の微妙な心理を見事に演じたビビアン・スー
Q:『弱くて強い女たち』ではご出演、そしてプロデューサーとしてもデビューされましたが、演じることとはどのような違いがあると思われますか?
ビビアン「役者は自分の役をうまく演じることに集中し、制作チーム全体と団結して作品を完成させますが、プロデューサーとしては全体を俯瞰することが必要であり、作品全体の責任者が自分になります。撮影の前後は、みんな気が気でなくなりますが、全身全霊で臨んでいれば、どんな役割であっても、大きな満足感と達成感を味わうことができますし、努力を重ねる過程が本当に楽しいです」
Q:今後どういったことに挑戦してみたいかお教えください。
ビビアン「次はタイヤル族語での曲作りに挑戦して、お母さんに贈りたいです!」
エンディングロールで流れる主題歌「明日不見」はビビアンの作詞・作曲によるもの。自身のルーツも大切にするビビアンが歌う、タイヤル族語の歌も聴いてみたいですね。
(2023年7月7日 公式インタビューより)
▼『ママボーイ』作品紹介
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