(c)2006 Chungeorahm Film.
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ドゥナ「この記者会見では、他の俳優さんたちは普段持っている恨みを、思い切り監督にぶつけているようですね(笑)。私も言いたいことはありますが、ここでは控えておきます(笑)。ナムジュ役を演じる上で、監督から一番注文が多かったのは、冷静沈着で集中力のある所を出して欲しいということでした。その点が、アーチェリー選手の本質でもあるのですが、実際、アーチェリーの選手たちは、野球場のように、応援する人たちが太鼓を叩いて大騒ぎをするような場所へ連れていかれ、そこでも落ち着いていられるかを訓練させられると聞いています。ナムジュにも、そういう時の冷静沈着さが求められたので、どんな状況でも冷静でいるように努めました」
司会「いつでもクールなところは、ペ・ドゥナさんの素顔とつながりますか?」
ドゥナ「そうですね。必ずしも、ナムジュほど冷静沈着で集中力があるわけではありませんが、ある程度は似ていると思います。普段から、自分だけ気持ちが別の所に行っている時があって、よく友だちから『今、幽体離脱してるね』と言われます(笑)。例えば今ですが、記者会見のような公の場にいる時でも、中味は何処へ行っちゃったの?って言われるくらい、よく幽体離脱をすると言われます」
ヒボン「言いたいことは皆さんに言われてしまったので、特にはないんですが、この映画は特に雨のシーンが多かったです。私が漢江の川辺で死んでいくシーンは、17日間もかけて撮影しました。背景が河だったので、雨を降らせる機械をかなり高い所に設置して撮らなければなりませんでした。さらに、雨の粒も見えないといけなかったので、通常の撮影よりも3倍か5倍くらい大きくて、体にあたるとまるでアラレにあたったようでした。死ぬ時は仰向けになって、空を眺めながら死ぬのですが、アラレのような雨粒があたると、なかなか死ぬことができなくて(会場爆笑)苦労しました。
ヒボンは銃を持って怪獣に挑む。
(c)2006 Chungeorahm Film.
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役作りに関しても、監督といろんな話をしました。若い頃は遊びほうけて家庭を顧みないことがあった、というバックグラウンドがあったので、もともと歯は白いんですが、義歯のようなものを2本くらい刺して、ちょっと色を変えたところもあります。それで、若い頃は遊んでいたという痕跡を残してみました。お腹にも少し詰めものをして、出しました。歳を取るとお腹の出る人が多いですし、お腹が出るとちょっとゆったりとした印象、小市民の感じが出せます。そういう細かいところも、監督から注文がありました。それから、監督は何10回もテイクを撮り重ねる方で、たまに腹が立つこともあるのですが、いつも笑顔のままなんです。あの顔で『じゃ、もう1回』と言われると、怒りたくても怒れなくなってしまいます(笑)」
司会「皆さんの意見を聞いて、監督はいかがですか?」
監督「皆さんを困らせてばかりですね(笑)。この会見の記事を読んで、僕の映画に誰も出演してくれなくなると、アニメ映画ばかり撮らなくてはならなくなるので、記者の皆さん、どうかお手柔らかにお願いします(笑)」
●韓国での記録更新と日本での公開
Q:公開後、韓国では次々と記録を塗り替える大ヒットですね。
ガンホ「ポン・ジュノ監督はほんとうに立派な映画を作られたので、それが韓国の観客に受け入れられて、これほど素晴らしい記録ができつつあるのではないかと思います。たしかにマスコミでは、新しい記録が出るのではないかという期待が大きいのですが、私たちにとっては記録や数字よりも大切なものがある気がします。韓国映画にはほんとうに力があるのだということを(韓国の)観客に知ってもらい、それによって自負心や誇りを持ってもらえる映画になれたらうれしいです」
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記者会見の前にはユン・ソナが応援にかけつけ、花束を贈呈して記念撮影。
左よりペ・ドゥナ、パク・ヘイル、ポン・ジュノ監督、ユン・ソナ、ソン・ガンホ、ピョン・ヒボン、コ・アソン
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司会「監督はいかがですか? 今、記録をどんどん更新していることについて」
監督「『殺人の追憶』を撮った頃、韓国には連続殺人事件を題材にしたスリラー映画というジャンルがあまりなかったので、周りの人はうまくいくのかと心配していましたが、幸い、興行的にはいい成績を残すことができました。今回の『グエムル』に関しても、記録やスコアより大切なものがたくさんあるような気がします。実はこの映画を撮ると周りに話した時、多くの人からやめた方がいいと言われました。怪獣映画に対する偏見があまりにも多く、きっと幼稚な子どもの夏休み映画になるのでは、という危惧があってかなり止められたのです。しかし、ふたを開けてみたら、この作品は多くの方に受け入れてもらうことができました。『殺人の追憶』も新しいジャンルに挑戦したわけですが、たくさんの大衆の方に受け入れてもらえましたし、今回もたくさんの方が観に来てくれています。どういうジャンルに挑戦するにしても可能性はあるのだ、ということを監督として認識できたような気がして、その点でとても意義深いことになったと思います」
Q:日本公開にあたり、この作品にはどんな期待を寄せていますか?
監督「日本は怪獣映画の王国というか、このジャンルの映画では本国、故郷という面があると思います。『ゴジラ』シリーズもありますし、怪獣映画というジャンルについては特別な思い入れがあると思います。それに比べて、韓国はあまり怪獣映画の伝統がありませんので、この映画の怪物のように、突然変異的に現れた映画と言えるかもしれません。その部分を、日本の皆さんがどう楽しんでくださるのか、とても気になっているところです」
という訳で、いよいよ日本公開となった『グエムル/漢江の怪物』。その評価は人それぞれなので、実際にご自分の目で確かめていただくとして、多くの人が楽しめる作品であることには間違いありません。それも、2度3度と重ねて観るたびに、新たな発見があるような気がします。とにかく理屈抜きでも充分に楽しめるので、まずは肩の力を抜いて、グエムルが大暴れする迫力の映像に身をゆだねましょう。
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