2008.7.10 ザ・ペニンシュラ東京(原宿)
26日より絶賛公開中の『ドラゴン・キングダム』。あの2大スター、ジャッキー・チェンとジェット・リーが競演するという、カンフーファンにとってはまさに夢のような場面が実現し、日本でも好調なスタートを切っているようです。残念ながら2人揃っての来日はありませんでしたが、四川大地震のチャリティコンサート出演を兼ねて来日したジャッキー・チェンとロブ・ミンコフ監督による記者会見がありましたので、ご紹介します。
ジャッキー「ミナサン、コンニチハ。映画の宣伝の前に、特別に日本政府の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。四川大地震の時にいろいろと支援をいただき、またファンの皆さんからも募金をいただき、大変ありがとうございました」
と、先のチャウ・シンチーと同じく、まずは災害支援へのお礼の言葉から。
司会「昨日のチャリティ試写会でたくさんのファンと再会しましたが、ひさびさにファンと対面した感想は?」
ジャッキー「皆さんは子どもの頃からの僕のファンで、結婚して子どもさんができてからは、子どもさんも一緒にファンになってくれています。今ではファンというより、大家族のようなものですね。それだけ自分も歳をとったというのが、恐ろしいんですが(笑)。ファンだけでなく、ここに来ているカメラマンの方も20年来、一緒に仕事をしてくれている人がいます」
監督「また戻って来られてうれしいです。初めて来たアジアが日本で、94年のことでした。それからいろんな都市へ行くようになり、アジア映画との関係が始まり、中国へ至りました。そしてこの映画に参加することができました。このようなきっかけを与えてくれて感謝しています」
ここから質疑応答に移ります。
Q:ジャッキー・チェンとジェット・リーという奇跡の共演を成功させた経緯は?
監督「私の知る限りでは、ジャッキーとジェットの共演の話は15年くらい前からありました。ただ当時はマネジメントの面で難しかったのですが、それを一緒に実現させたのが、今回のプロデューサーであるケイシー・シルヴァーでした」
Q:ジェット・リーさんとの共演はいかがでしたか?
ジャッキー「監督の力添えでジェットと共演できて、とてもうれしく思っています。彼とは知り合って20年くらいになりますが、以前は、人には言えない男女のような関係でした(笑)。なぜかというと、20年前、中国はまだ解放されていなかったし、香港もまだ返還されていなかったから。彼が香港に来る度に、皆で内緒にしていました。僕がタクシーで彼を迎えに行き、食事や買い物に連れていきましたが、厳重秘密でした。その頃は、口にしていいことやいけないことがわからなかったのです。彼は香港へ来ると剣をプレゼントしてくれました。僕はダウンジャケットをプレゼントしたことがあります。あれから20数年が経ち、最初は普通の親友だったけど、この映画を撮り終えてからは、兄弟のようになりました」
Q:今回共演することになって、ジェット・リーと話したことは?
ジャッキー「15年前に彼と会った時は、映画と武術の話ばかりしてました。この映画で彼と共演した時は、チャリティの話ばかりしてました(会場笑)。すごく不思議なんですが、皆さんご存じのように、僕はかなり以前からチャリティ活動をやっています。ここ数年はかなりチャリティ活動に力を入れています。ジェット・リーは04年にスマトラ沖津波災害を体験(モルディブで家族と滞在中に被災)して、人生観が変わったと言っていました。人は経験によって人生が変わることがあるようです。僕にとっては映画の撮影がメインの仕事ですが、それ以外の時間はすべてチャリティに使っています」
Q:今後のチャリティ活動に関する展望を教えてください。
写真撮影中も歌ったり踊ったり… 心はチャリティコンサートへ
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ジャッキー「チャリティ活動については特に計画はなく、絶えずやっている状態です。ジャッキー・チェンは1人しかいないので、どれくらいのことができるかわかりませんが、できるだけのことはします。今まで、カンボジアやベトナム、つい最近は東チモールにも行きましたが、行って戻って来ると自分の無力さを痛感します。ただ、国連から頼まれて僕が行くことで、1人でも手助けできれば少しは役に立ったかなと。僕の場合、世界中のいろんなチャリティに関わっているので大変なんですが。四川大地震の後で東チモールへ行き、それから韓国へ行き、雲南省へ行きました。
実は今回日本へ来たのも、この映画のプロモーションがメインではないんです。(会場笑)最初、この映画のPRだけだったら時間がなかったのでお断りするつもりだったのですが、ジュディ・オングさんからチャリティ・ショーのお話をいただいたので、それに出席するためにお受けしたのです。そのチャリティ・ショーがメインで、そのついでにこの映画のPRに出て来た次第です。(会場笑)もう長い間、映画のPRは重視していないんです。映画1本にはベストを尽くして撮影してますから…(ここでやっと監督を見て)…Sorry!(会場笑・監督苦笑)」
監督「Thank you for coming!(来てくれてありがとう)」
Q:体をはってたくさんの映画に出演しておられますが、映画に対する思いをお聞かせください。
ジャッキー「映画の撮影は僕の最愛のものです。1本1本ベストを尽くして撮っています。ここ数年は特に1本1本違う役柄に挑戦して、どの映画も単にアクションだけではありません。アクションができる俳優でどラマもできるというのではなく、ドラマが上手い俳優でアクションもできる、と皆さんに思ってもらいたいのです。これから先どのくらい映画を撮っていけるかは僕もわかりませんが、映画を通して、友愛、団結、平和といった僕の理念を伝えていきたいと思います。映画を撮り続け、それができなくなったら監督やプロデューサーとして映画を撮っていきたいし、将来的には、武術や映画、ドラマを学ぶ学校を作っていきたいです」
Q:今回はお約束のNGシーンがなくて残念でしたが、思い出に残っているNGシーンとベストシーンを教えてください。
ジャッキー「もし、この映画がすごくよくできてるとしたら、それは僕のおかげ。もし、あまりよくなかったとしたら、それは監督のせいです(笑)」
監督「NG集がなかったのは、ミステイクがまったくなかったからです(笑)」
ジャッキー「どのシーンが一番よかったかはなかなか言えませんが、ドラマのシーンは一生懸命撮りました」
監督「観客の皆さんと同じで、2人の対決シーンですね。皆さん待望のシーンで、ほんとうにエキサイティング。僕も皆さんと同じ気持ちです。実は最初の脚本にはそのシーンがありませんでした。それで、どうして2人が闘うシーンがないのかとプロデューサーに尋ねると、同じ側の人間だからと言うので、それじゃせっかく2人が共演するのに意味がないじゃないかと説得し、出会い頭のシーンに入れるよう調整してもらいました」
司会「では最後に、この映画の魅力・楽しみ方は?」
監督「ジャッキーとジェットの素晴らしい演技が見られますし、2人は違うタイプの役者ですが初めての共演でもあり、若い方から年輩の方まで楽しめると思います。武術もたくさんありますし、マーシャルアーツが好きな方も、まだあまり見たことのない方にも楽しめるでしょう」
ジャッキー「他と比べてどのくらいいいかっていうのはあまり言ったことがないのですが、とにかく1本1本しっかり撮っています」
監督「1つジャッキーについて付け加えたいことがあります。これまでにいろんな人たちと仕事をしましたが、1本の映画にこれだけ一生懸命取り組む俳優に会ったことがありません。ありがとう、ジャッキー」
ジャッキー「言わなくてもいいよ。皆、よく知ってるから(笑)」
という訳で、監督の大笑いで会見は終了。映画のプロモーションというよりも、チャリティ活動の話の方がメインになってしまいましたが、それが許せてしまうところも、ジャッキーの人柄ゆえでしょう。そんなジャッキーとジェットががっつり組んだ『ドラゴン・キングダム』は観応えたっぷり。ぜひ劇場でご覧ください。そして、こちらがメインと語っていた14日のチャリティコンサート「ハートエイド四川」は、こちらのレポートをどうぞ。
▼作品紹介 ▼ハートエイド四川会見&レポート
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