いよいよ2012年から2013年へ。この冬の年末年始は、未公開の香港映画がたくさん上映されます。まず、先陣を切るのが「ゆく年 くる年 香港映画!」という景気のいいキャッチコピーがついた「2012-2013 冬の香港傑作映画まつり」。注目の未公開作品3本が、シネマート六本木(12/15より順次公開)とシネマート心斎橋(12/29より一挙公開)にて上映予定です。
この特集上映のポイントは、なんといっても豪華な出演者たち。15日から上映がスタートした『最愛』は、チャン・ツィイーとアーロン・クォックが主演。共演は『乳泉村の子』『三国志』の名優プー・ツンシン。『イノセントワールド/天下無賊』で注目されたワン・バオチャン(『コンシェンス/裏切りの炎』にも出演)も登場します。
晴れて結婚し、お祝いの飴を配って歩く二人
(c)2012, Irresistible Delta Limited, Edko Films Ltd, Sil-Metropole Organisation Limited.
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監督は名撮影監督としても知られる、『孔雀/我が家の風景』のクー・チャンウェイ。香港映画というよりは、中国が舞台の純粋な中国映画なのですが、ここ数年、俳優としての活躍も目覚ましい香港のダンス・キング、アーロン・クォックが都会的なイメージを捨て、ぼさぼさ頭の田舎青年を好演。明るく無鉄砲なキャラクターで、チャン・ツィイーを相手に情熱的な恋を演じます。
エイズという重い題材でありながらも、限りある時間の中で、抑圧された性と生を謳歌する恋人たち。撮影にはクリストファー・ドイルも参加。チアン・ウェン、ルー・チュアン、フォン・シャオガンと、中国の名監督たちもカメオ出演しているので、そこもお見逃しなく。
新春1月5日からは、特集2本目『大魔術師Xのダブル・トリック』を上映。1920年代の北京を舞台にした本作は、西洋から戻ったマジシャンが、大軍閥に捕われた師匠と婚約者を取り戻そうと奮闘する物語。そこに日本軍や清朝復活派の陰謀が絡まっていきます。
トニーとジョウ・シュンは歌も披露!
(c)Emperor Motion Picture Limited Bona Entertainment Company
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主演はトニー・レオン、ジョウ・シュン、ラウ・チンワンと豪華な顔ぶれ。監督は『新宿インシデント』のイー・トンシン。冒頭にダニエル・ウーがちらっと出て来たり、チョン・プイ、アレックス・フォン、ラム・シューなど、イー・トンシン作品でお馴染みの面々が続々登場。また、ツイ・ハークやビンセント・コクらがカメオ出演しています。中国からはウー・ガンとヤン・ニー(『女と銃と荒野の麺屋』)が出演。さらに、日本からは中華圏で活躍している澤田拳也が参加。撮影は『新宿インシデント』も担当した北信康が手がけています。
こちらも北京語版での上映がやや残念なのですが、イップ・マン風の手さばきを見せるトニーや『レッドクリフ』など、様々な映画のパロディも満載。さらに、エンディングロールではトニーとジョウ・シュンのデュエット曲「猜情人」を聴くことができます。本作が初共演の二人ですが、ともにソロ・アルバムを出しているほど歌も得意。この共演は楽しかったのではないでしょうか。
そして1月26日から上映される3作目『狼たちのノクターン<夜想曲>』は、生っ粋の香港映画です。もちろん広東語での上映。『殺人犯』でアーロン・クォックのこわ〜い表情を撮りあげたロイ・チョウ監督が、本作では影帝ニック・チョンをこれまたぞっとするような表情で撮影しています。共演はサイモン・ヤム。今回は刑事役で、ある殺人事件を通じ、20年ぶりに出所したニック扮するピアノの調律師を追っていきます。(原題は『大追捕』)
緊張感溢れる取り調べシーン。ベテラン刑事が見抜いた男の真実とは?!
(c)2012, Irresistible Delta Limited, Edko Films Ltd, Sil-Metropole organisation Limited.
若き日のニックを演じるのは、『サンザシの樹の下で』のショーン・ドウ。そして彼のファム・ファタールをジャニス・マンが二役で演じています。人間の深層心理に踏み込み、あえてダークサイドを引出すような、トリッキーな作風のロイ・チョウ監督。本作でもその特徴が生かされています。善を信じるか、悪を信じるかはあなた次第。最後にどんでん返しがあるので、注意深くご覧ください。本作にも、ゴードン・リュウやジュン・コンらがカメオ出演。音楽は梅林茂が担当。11月末に発表された台湾金馬奨で、音響効果賞も受賞しています。
今回の特集上映では、香港の俳優が演じる中国映画、中国映画界とがっつり組んだ香港映画、そして香港ならではの香港映画と、今の香港映画界を映すような3作品が揃いました。文芸タッチの悲恋物語、豪華キャストによるスペクタクルなコメディ、胸に沁みるサスペンスと、作風も違う3作品をじっくりとご堪能ください。
▲「2012-2013 冬の香港傑作映画まつり」 ▼冬の香港映画ラインナップ
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