司会「今回は男形を演じられましたが、いかがでしたか?」
チャン「私が演じた孟小冬という女性は、歴史上に実在した芸術家です。今回は、映画の中にも芝居があり、私は男形を演じました。その演出のために、毎日先生について2ヶ月間いろんなレッスンを受けました。京劇の衣装を着たり、鬚をつけたり、靴をはいての歩き方など、いろんなことを練習して日々努力しました。ところが、映画ではおそらく2分くらいの映像しかありません。ご覧になると、ひょっとしたら不満が残るかもしれませんが、私自身は時間をかけて一生懸命練習しましたので、この役を好きになっていただけるとうれしいです。
それから、孟小冬と梅蘭芳の間の感情ですが、ほんとうに純潔で、ときには熱烈で、壮烈とも言えるかもしれません。2人は手を握ったこともないのですが、セリフやいろいろな部分から2人の感情を堪能することができます。私たち役者にとって、芝居の量は問題ではありません。特に小さな役でも、そこで新しい表現のし方を見つけることができれば、役者としてたいへん幸せだと思います」
司会「今回は直々にオファーがあり、北京語の堪能な日本人将校役ということで、海外の映画祭も体験されたわけですが、感想はいかがですか?」
占領下、若き日本人将校の田中隆一は梅蘭芳を擁護する
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安藤「僕自身、日本の映画だけでなく海外の映画にも挑戦していきたいという思いがありました。今までチェン・カイコー監督の作品はずっと観ていたのですが、まさかそれが、出る側ことになるとは思いもよりませんでした。でも、自分が役者として成長するいい機会だと思いましたし、日本と中国の過去の歴史についても学んで、じゃあその先、自分はどういう風にそれに触れていくかという意味で重要な役であり、重要な映画でもあるので、ぜひこの映画をやりたいと思いました。海外に行って言葉の面で苦労する部分はたくさんあったんですが、それを全部呑み込んで、心血を注いで、ぜひこの映画に参加したいと思いました」
司会「中国語を勉強されて、話してますよね?」
安藤「中国の映画では吹替えはあたり前のよう使われるものですが、僕自身、田中隆一として自分の声で皆さんに伝えたいと思ったので、ほんとうに努力しました。自分でも、それは言えます(照れ笑)」(拍手)
司会「そんな安藤さんと共演されて、いかがでしたか?」
レオン「僕も同じような経験があるのでよくわかります。以前、韓国で映画を撮影した時は、周りの人たちがなんて喋っているのか全く分からず、交流は全てジェスチャーを通してやっていました。安藤さんが初めて北京へいらした時もそんな感じだったので、早速、安藤さんを誘ってご飯を食べに行ったりしました。そういう意味では、撮影の時にはお互いの役柄やセリフをとても理解していたので、とてもうまくいきました。安藤さんはほんとうの芸術家ですね。映画の中でもそうですが、彼の役はまさに芸術を守るために、最後は犠牲になってしまいます。安藤さんは映画の中でも映画の外でも本物の芸術家で、ほんとうに感服しています」
チャン「私も以前、2〜3ヶ月日本に滞在して、鈴木清順監督の映画(『オペレッタ狸御殿』 )に出演したことがあります。役者にとって、母国以外の言葉を学んで、その言葉で演技するのがいかに大変なことかというのは、ほんとうによくわかります。完成した映画を観て『ほんとうに、とてもよかったですよ』と安藤さんに言いました。これからも続けて、中国語を頑張っていただきたいです。そして、いずれ機会があれば、(今回は共演部分がなかったので)ぜひ映画の中での共演を実現させていただきたいと思います(笑)」
司会「では、最後にメッセージをお願いします」
レオン「映画をご覧になって、僕たちと同じ旅をしてください」
チャン「この場を借りて、日本の皆様や映画関係者の皆様に一言、おめでとうと申し上げます。つい先日、日本の映画が2つもオスカーを受賞しました。なんて素晴らしいことでしょう。同じ国ではありませんが、お隣の同じアジアの映画人として、ほんとうに心から喜んでおります。引き続きいい映画を作られますように。ほんとうに、心からおめでとうございます」
安藤「梅蘭芳を通して、様々な困難に立ち向かって行く勇気や、それを乗り越える強さをこの映画から学びました。皆様にも、何か生きるヒントになると思います」
まさに、3人の熱演ぶりが伝わってくるような舞台挨拶でした。その成果は、ぜひ劇場でご確認ください。『花の生涯 梅蘭芳』は3月7日より、全国順次ロードショー公開です。
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