済州島のシネマ・ミュージアム
パスポートをふとめくると、この4年の間「成田」「インチョン」以外のスタンプが無いことに気づいた。もう韓国専用パスポートと化しています(笑)。なのに…ソウル以外は訪れたことがない。そんな私が、ようやく済州島(チェジュド)に降り立つことが出来ましたので、今回はドラマや映画のロケ地として、はたまた国際会議の会場やサッカー大会の開催地として、訪れる人が倍増中の済州島(チェジュド)にある、SHINYOUNG CINEMA MUSEUM(シンヤン・シネマ・ミュージアム)をご紹介します。
入場料2000ウォン(大人)を払って館内に入ると、最初の部屋には『カル』や『シュリ』など、懐かしいポスターの数々が展示されています。韓国映画界の歴史、各賞の歴代の受賞者の写真(青鐘賞とか)、ヒット作のポスターやシナリオが展示されているエリアでは、自分の好きな俳優さんを発見して少々テンションがあがります。
韓国映画だけでなく、映画の歴史が年代を追ってわかるようになっており、韓国映画に興味がなくても、映画好きには楽しめる部分も。『エイリアン』や『ロボコップ』が並ぶ場所に『殺人の追憶』のポスターがあり、まさに「なんでもあり」状態(笑)。
特殊メイクの道具や、『JSA』等で使用されたとおぼしき衣装がある一方、韓国歴史ドラマに登場する王様やお姫様が着用する、かつての豪華な韓服やその時代の箪笥や籠も並び、その王様やお姫様用の韓服を着て写真を撮ってくれる有料サービスもあります。はたまた、チェジュ放送局のニュース・デスクが再現されており、誰でも「ニュース・キャスター」席に座ることができ、その様子がTVにどのように写るのかが試せます。
また、合成写真の有料サービスもあり、青い壁のステップに手や足をのせておくと、PCで「断崖絶壁を登る」(落ちそうな?)写真に仕上げてくれます。カップル向けに他のバージョンもあり、この撮影には2000ウォンほど。
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シネマ・ミュージアムの前にあるチェジュ名物トルハルバン(石像)に降りつもった雪。晴天なのに雪という不思議なパターンはチェジュ滞在数日のうち何度かありました。 |
3階には円形シアターがあり、中は真っ暗でスクリーンがあるのみ。一体何が見られるのだろう?と、そのあたりをウロウロしていると「なんとかかんとかシュリ!」「え? シュリ?」「シュリ! シュリ!」
「シュリ」しか聞き取れなかったわけで(苦笑)、他にお客もおらず、たったひとりでその円形シアターにたたずむことに。中には座席もなく、即座に照明を消され真っ暗状態。人がいる場合は立見なんだろうけど、誰もいないのをいいことに床に座ると、前方のスクリーンからは懐かしき『シュリ』が始まりました。といっても、ダイジェスト中のダイジェストで、誰の記憶にも残っている名場面がつながれ、2分強で終了。でも、何かが違うのです。なんだろう?
すると再び、『シュリ』のダイジェストが始まりました。全く同じ映像。あれ、今度は、台詞の音声がない! 聞こえるのは、雨の音や、水槽の音、弾丸の音、ガラスの割れる音。そう、効果音と映像だけ。最初のダイジェストは…そうか! この効果音がなくて、台詞だけだったから、不思議な感じがしたのでした。
そして3度目のダイジェスト開始。台詞と効果音と音楽と、全て揃っている。こんなにも映像が違ってみえるとは! 場面ごとの迫力や、リアル感がこれほど違うとは! 3バージョンのダイジェストを見て10分弱のこのアトラクションが、このシネマ・ミュージアムの最大の目玉でしょう。
さて、展示品の中で、どのハリウッド映画で使用したのか私には不明のバイクの背後に「これはっ!」と目を奪われたのが、真っ黒な木製のベッド。本当に映画の撮影に使われたモノなのか、それを再現したモノなのかわかりませんが、このベッドは『銀杏の木の寝台』(邦題は『銀杏の木のベッド』)の寝台ではありませんかっ! 『銀杏の木の寝台』は、ハン・ソッキュやシン・ヒョンジュン出演の悲しい恋物語で、とても好きな作品なので、この寝台との遭遇が個人的には一番嬉しかったミュージアム訪問でした。
他にもこじんまりと、ミュージアムのオリジナル・グッズのお店やアクセサリー関連のお土産物店、カフェ・テリアもあり、3D映画のミニ・シアターもありました。庭に出ると、そこにも映画関連モノが設置されておりました。サクサク順路を進めば30分ほどで見終わってしまう規模ながら、好きなポスターや好きな俳優さん関連のエリアをじっくり鑑賞していると、軽く2時間は過ぎてしまうのではないでしょうか。
今回は日程の都合で、駆け足でこのミュージアムを通りすぎた私でしたが、再度、チェジュドを訪問する際には、ぜひもう一度ゆっくり観てみたいと思いました。
●SHINYOUNG CINEMA MUSEUM(シンヤン・シネマ・ミュージアム)
*交通アクセス
タクシー:済州エリアから1時間〜1時間30分/中文エリアから30分〜40分/西帰浦エリアから20分〜30分
一般バス:タクシーでかかる時間+30分以上。(直行便はなく一般バスなので、停留所が多いため)
*いずれの場合も、宿泊ホテルのフロントまたは観光案内所でアクセス方法(バス下車停留所等)を確認して下さい。
*済州島ガイドサイト:http://www.jejuscm.co.kr
●以下は、その他の注意事項です。
チェジュドでの交通は、バスとタクシーのみ。また、バスやタクシーの運転手は基本的にハングル語オンリーです。英語も日本語も通じません。またミュージアムのある場所は大通りに面しておらず、近くの通りの交通量も多くないので、タクシーで行かれた場合は帰りのことを考慮して、以下のことをお薦めします。
・戻ってくるまで、タクシーに待っていてもらう。
・時間を指定して、タクシーに来てもらう。
・タクシーの電話番号を聴いておき、必要な時間に電話して呼ぶ。(もちろんハングル語で)
タクシーに待っていてもらう場合、私が乗ったタクシーは完全にメータを止めて待っていてくれましたが、待ち時間にメータをまわしている運転手もいます。またタクシーを呼び出すと、その分料金を加算される場合もあります。タクシー料金は運転手によりけり、と覚えておきましょう。
(2005年3月2日/photo by 龍玲花)
text by 龍玲花●プロフィール
東京都、荻窪生れ。韓国との第1種接近遭遇は、1997年サッカー韓国代表。以後、2000年から韓国映画が加わり現在は韓国映画とサッカー韓国代表との間をハートが往復する日々。「言葉は耳から覚える!」がモットーで、未だ読めるハングルは、選手名、チーム名、俳優名、映画のタイトルに食べ物…と偏りっぱなし。ミーハー体質のまま未来永劫突き進む所存也。
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