ジャッキー・チョンの歌をスクリーンで!
皆さんは、ジャッキー・チョン(張學友)をご存知でしょうか? もちろんジャッキー・チェン(成龍)ではありません。念のため(笑)。今回は、このジャッキー・チョン(ジャッキー・チュンとも呼ばれている)について、コラムを書き進もうと思います。
思い起こせば、8年前の8月、私は初めて香港を訪れました。そこで香港観光協会主催の「香港動感之都〜與星同遊大匯演」という野外イベントを観たのです。香港の歌手たちが次から次と現れては歌い踊り、トークをして、その合間合間に香港の観光地のCMが流れたりする、香港アピール度の強いイベントでした。
そのステージに、ジャッキー・チョンは当時「板前かっ!」ってくらいの角刈りに、スーツ姿で登場したのです。彼以外にも、有名な歌手・スターが大勢出演していたにも関わらず、ジャッキーが出てきた途端に、私の心はがっつりと角刈り姿の彼と彼の歌声に掴まれてしまうのでした。
何だ?! この感じ?! ダイレクトに伝わってくる、この温かいモノは何?! 意識の中にほんわりと残ってく、このぬくもりは何?! 広東語・北京語、何一つわからない私でしたが、彼の歌に込められた何かを感じとってしまい、眼が離せなくなってしまったのです。
電撃的な出会いを終えた後、私は香港のあちこちで彼の作品を買い漁り、その数の半端ない多さに面食らったもんです。一体どれだけ発売しとるんよ〜! それもそのはず。8年前のジャッキーは、すでにデビューしてから13年も経っており、発売したアルバムは40を超え、受賞した賞も多数。香港では、いえ、アジア圏では、言わずと知れた「歌神」として君臨していたのですから。
デビューのきっかけが、アマチュア歌唱コンテストでの優勝というのも有名なお話。ジャッキーの歌を聴きたくて、ジャッキーの温かさに触れたくて、気づけば何度も香港を訪れるようになり、コンサートにも行くほどになりました。当時の香港スターでは珍しく、余計な演出のないステージで歌い踊るジャッキーの姿に、何度涙したことか…。人の心に浸透していく歌を歌う明星、それがジャッキー・チョン!
数年前までは、来日公演も何度か果たしており、キュートな日本語でファンを湧かせていました。また昨年は、97年に自ら創作したオリジナルミュージカル『雪狼湖』の北京語公演を、世界規模で開催。しかし残念ながら、楽しみにしていた日本公演はかなわず、香港・台湾へと何度か足を運びました。
そんなジャッキーが、今度は映画で日本にやって来ます。それは『ウインターソング』(原題『如果愛』/配給:角川ヘラルド映画)。主演は金城武、ジョウ・シュン(周迅)。監督はピーター・チャン(陳可辛)。去る9月14日、東京は丸の内「丸ビル」で来日記念記者会見が催されたのも、記憶に新しいところですよね。2年ぶりの来日!と各メディアが金城武を追ってましたし。(残念ながら、ジャッキーの来日はありませんでしたが…)
左/金城武とジョウ・シュン、右/ジャッキー・チョン(歌はもちろん本人ですが、なぜかセリフは大半が吹替えに…) (C) 2005 Morgan & Chan Films Limited and Art Limited.
ここに加わるジャッキーは、苦悩する映画監督役を演じています。さらに韓国からチ・ジニも加わって、「愛」をテーマにミュージカル仕立てで物語は進行していくのですが、なんせミュージカル。歌って、踊るんですよ。彼の得意分野じゃないですか!
ダンスシーンの振付は、インド人の振付師ファラー・カーンが務めます。ジャッキーの歌声に魅惑的なインド舞踊。この融合がどんな風に映像化されているかは、スクリーンでぜひお確かめくださいね。しばらくは、テーマソングが頭の中をぐるぐるすること間違いなし!ですから(笑)。もちろん、金城武やジョウ・シュン、チ・ジニも、多彩な姿を見せてくれています。
この『ウインターソング』、春の香港アカデミー賞(金像奨)でも、主演女優賞など数多くの賞に輝きましたが、8月に発表された金紫荊奬でも、監督賞、主演女優賞、撮影賞、美術賞、音楽賞、映画主題歌賞、人気作品賞の7つを受賞しています。どうです? すごく楽しみになってきたでしょう? 今年の冬は、皆で『ウインターソング』を観て、寒さをぶっ飛ばしましょう!
*『ウインターソング』は11月上旬公開予定。
(2006年9月30日)
text by あチョ●プロフィール
大分県出身。『好きなら突き進め』を胸に日々感動を求めてアジア各地をさ迷い中。
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