バイオリンの思い出
葉加瀬太郎氏のコンサートへ行ってきました。セリーヌ・ディオンのコンサートに呼ばれるくらいだから、知名度は世界レベル。今やアジアのバイオリニスト、と言うより世界のと言った方がいいのかな。
実はクラシックにも葉加瀬太郎にも全く興味がなかったのですが、こんな地方で一体どんな公演を行うのか? 実際あのモジャモジャ頭がどれだけの弾き手なのか? この目で確かめてみようと思ったのでした。
ステージ上の彼は、TVのままのトークと風貌。抜群の感性とテンションで、観客の心を一瞬にして鷲掴みにしてしまいました。
「うをっっっ!」鳥肌が立つのを感じるまま、視線と耳はステージ上のふくよかな頬っぺたのオトコに集中です。途中、弦が1本切れようともモノともせず、何もなかったかのように弾き続ける姿には、惚れ惚れしました。不覚にも。
牛肉以外は肉ではないと豪語する、この関西特有の話法を持つ世界的バイオリニストが、我が日本から生まれたなんて…いや、誇りですよ。誇り。
心地良いバイオリンの音色で思い出すのが、その昔、香港の某明星が日本公演を行った時に、一緒に回っていたバイオリニスト。名前は…なんだったっけな。全国各地の公演を見るために、当時の私はその明星について一緒に日本縦断したものです。
どこへ行っても私を見かけるもので、そのバイオリニストから名古屋で覚えられ、横浜で挨拶され、東京ではなんと目の前で生演奏をしてもらったのでした! それも大好きな明星の曲を。イントロだけでウルウルと感動したものです。やはり生演奏は違います。心への響き方が。これで本人の歌付きだったら、恐らくワタクシ天に召されていたことでしょう。
大陸出身だと言っていた彼。明星本人ではなく、バンド・メンバーとこんな風に接するなんて、これまた滅多にない経験だったけど、数年たった今でも、あの時の演奏は一生忘れることはないだろうし、バイオリンの音色を聞くとまた鮮明に思い出すことでしょう。また何時の日か、どこかで偶然出会えたら、あの時の曲を弾いてもらうことを夢見る私です。
葉加瀬太郎が若かりし頃の記憶を蘇らせてくれた、というお話でございました。
(2005年4月3日)
text by あチョ●プロフィール
大分県出身。『好きなら突き進め』を胸に日々感動を求めてアジア各地をさ迷い中。
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